惨極三国志
 第九大陸暦193年、世界人口の90%は女性であった。度重なる戦争と大災害が、社会の中心である男性を激減させていったのだった。人口の中心となった女性は、単色受精技術により、一層世界の中心へと栄えていった。しかし、1部の権力を握った者達はこの世界を徐々に歪めていった。単色受精技術は男性を必要とせずに新たに命を生み出すことのできる技術である。それにより、染色体レベルでの操作を施し、老化のない人類を生み出し、次々と人口を増加して侵略戦争を繰り返し始めたのである。
第九大陸暦190年、大陸の北側にある「蟻(ぎ)」と呼ばれる帝国は、本格的に他国へと侵略戦争を開始した。「蟻」と同様に大きな力を持っていた、大陸の東南に位置する「娯(ご)」と西南にある「喰(しょく)」は、敵対関係であるながらも時には協力し、その他の小さな国々と連携してなんとか「蟻」の大侵攻を防いでいたのだった。しかし、その踏ん張りも圧倒的な「蟻」の武力と科学力の前に少しずつ劣勢に陥っていくのであった。それから3年後の第九大陸暦193年、大陸の東の端に小さな国があった。「東倭(とうわ)」と呼ばれたその国のさらにはずれにその研究所はあった。誰も気にかけない個人の小さな研究所だったが、この後の歴史を大きく変える研究がなされていようとは、誰も知らなかった。第九大陸暦193年その年を境に、各国の砦や防衛基地などで謎のゲリラ活動が開始されたのであった。